有機フッ素化合物(PFAS)について

更新日:2025年01月17日

有機フッ素化合物(PFAS)について

 

 近年、有機フッ素化合物の一群であるPFASが話題に挙がることがあります。PFASは炭素とフッ素を中心に構成される物質であり、2018年時点で約4,700種が特定されていますが、実際には1万種以上存在すると言われています。種類が非常に多くあるため特性も様々ですが、中には「水や油をはじく性質」・「熱や薬品に強い性質」を持っているものがあります。特に、PFOS及びPFOAは、安定性が高く、水と油の両方をはじく性質を持っていることから、撥水撥油剤・界面活性剤・半導体・メッキ・消火剤等、幅広い用途で使用されてきました。

フッ素化合物の分類

フッ素化合物の分類

水道水中のPFOS及びPFOAについて

 橋本市では、2020年度より、PFOS及びPFOAの検査を実施しています。検査地点は、紀の川取水口付近の原水と、末端給水栓の水道水です。これまでの間、どちらの検査地点についても、暫定目標値の10分の1である0.000005mg/Lを下回っているため、「検出されない」とみなすことができます。

 

 水質検査の結果については、こちらのページに掲載しています。

 

 

水質管理目標設定項目におけるPFOS及びPFOAの暫定目標値について

 水質管理目標設定項目では、暫定目標値をPFOSとPFOAの合計で0.00005mg/Lと定めています。この値は、2020年当時の知見に基づき、体重50kgのヒトが毎日2Lの水を一生涯飲み続けた場合でも、健康に悪影響がない摂取量を根拠にしています。

 

 

PFOS及びPFOAの有害性について

 動物実験の結果では、肝臓機能や仔動物の体重減少に影響を及ぼすことが指摘されています。ヒトに対しては、コレステロール値の上昇や発がんに関連する可能性が報告されていますが、どの程度の量で有害であるかは、まだ確定できるほどの知見がありません。また、国内においてPFOS及びPFOAによって健康被害を受けた事例は確認されていません。

 

 

今後の規制について

 令和6年12月24日に実施された、令和6年度第2回水質基準逐次改正検討会(環境省)において、PFOS及びPFOAを

「令和8年4月1日から水質基準項目に格上げ」する改正方針案が示されました。

 

 今後は、中央環境審議会水道水質・衛生管理小委員会での審議、内閣府食品安全委員会への諮問、パブリックコメントの実施等を経て、水質基準項目への見直しが進められていく予定となっています。

 

 

~さらに詳しく知りたい方は~

濃度の単位について

 PFOS及びPFOAの目標値・測定値について、単位の書き方に、表現方法が複数あります。橋本市では、水質管理目標設定項目での記載に合わせて「mg/L」を使用しています。

 

PFOS及びPFOAの暫定目標値

0.00005mg/L = 50ng/L = 50ppt = 1リットルの水に対して1億分の5グラム

 

単位換算

1ng (ナノグラム)= 0.001μg(マイクログラム) = 0.000001mg(ミリグラム) = 10億分の1グラム

 

お米1粒(約0.02g)を橋本市全体で一日に使われる水道水(約22,000m3)または

25mプール(たて25m×よこ15m×深さ1.1m)50杯分の水に入れると、

およそ 0.000001mg/L = 1ng/L = 1ppt になります。

 

 

構造や名称について

 PFOS・PFOA・PFHxSは、各物質の構造を基に、国際的な命名規則に従って名付けられています。名称が長いため、頭文字をとって省略表記されています。

PFOSの構造式

 

PFOS

PerFluoroOctane Sulfonate)

ペルフルオロオクタンスルホン酸

PFOAの構造式

 

PFOA

PerFluoroOctanoic Acid)

ペルフルオロオクタン酸

PFHxSの構造式

 

PFHxS

PerFluoroHexane Sulfonate)

 ペルフルオロヘキサンスルホン酸

語句の解説

 

 

 

有機フッ素化合物の規制について

 PFASは便利な物質として使用されてきましたが、生物の体内に蓄積すると有害である可能性が指摘されるようになり、ヒトの健康保護の観点から国際的に議論が行われた結果、2023年現在、PFOS、PFOA、PFHxSの3種が廃絶対象物質に加えられています。

 

 国内の最新情報では、PFOS、PFOAの規制に続いて、2023年11月28日にPFHxSの規制が閣議決定され、「化学物質の審査及び製造などの規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」が2023年12月1日に公布されました。この政令により、2024年2月1日からPFHxSが第一種特定化学物質に指定され、2024年6月1日から製品の輸入等が原則禁止になります。

条約名・法律名

条約関係

国内法関係

取り扱いの規制

国内法関係

公共用水域の水質

国内法関係

水道水の水質

 

残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法) 環境基本法 水道法
2009

PFOSが

廃絶対象として決定

  化学物質環境実態調査により、同一測定箇所における環境中のPFOS及びPFOAの濃度測定を開始

PFOS及びPFOAを水道水質についての「要検討項目」に追加

科学的な根拠が不足していたため、濃度目標値を設定することはできなかった

2010   PFOSについて、特定の用途(エッチング剤 や 半導体用のレジスト、業務用写真フィルムの製造)以外での製造・使用・輸入が禁止    
2014     PFOS 及び PFOA を「要調査項目」に位置付け  
2018   すべての用途でPFOSの製造・使用・輸入が原則禁止    
2019 PFOAについて廃絶することを決定      
2020    

PFOS及びPFOAを「要調査項目」から「要監視項目」に

格上げ

水道と同じく暫定目標値を0.00005mg/Lと定める

PFOS及びPFOAを「要検討項目」から「水質管理目標設定項目」に

格上げ

暫定目標値を

0.00005mg/Lと定める

2021   すべての用途でPFOAの製造・使用・輸入が原則禁止  

PFHxSを「要検討項目」に追加

(現在の知見では目標値は設定できない)
2022 PFHxSも廃絶することを決定      
2023   PFHxSの規制が閣議決定され、12月1日に公布    
2024  

PFHxS製造・使用・輸入の原則禁止

 

 
2026      

PFOS及びPFOAを「水質管理目標設定項目」から「水質基準項目」に

格上げ予定

 

 

 

水質基準等の体系について

 水道水の水質を守るために、水道法を根拠として、水質基準項目・水質管理目標設定項目・要検討項目の3グループが定められています。これらの項目の関係性については以下の通りです。橋本市の水道水については、橋本市上下水道部が検査を実施し、水質を守る義務があります。

 

名称 項目数 概要 規制レベル 検査 橋本市上下水道部の対応
水質基準項目 51項目 水道水が適合しなければならない基準
51項目のすべてに適合すれば、水道水として飲むことができる
水道事業者が検査しなければならない 全項目を年4回検査
水質管理目標設定項目 27項目 状況を把握し、水質管理に役立てるべき項目
目標値が暫定なもの、現在は規制が必要なほど高い濃度で検出されていないが今後は検出される可能性があるもの等
水道事業者が検査の実施に努める 全項目を年1回検査
要検討項目 46項目 情報や知見を収集すべき項目
毒性評価が定まっていないものや、水道水からどの程度の割合で検出されるかが不明なもの等
水道事業者が地域の実情に合わせて検査する ダイオキシン類を年1回検査

 

 

 

環境基準等の体系について

 河川水等の公共用水域の水質については、環境基本法を根拠として、環境基準項目・要監視項目・要調査項目の3グループが定められています。これらの項目の関係性については以下の通りです。水道法による水質基準とよく似ていますが、対象が水道水ではないため、橋本市上下水道部が水質管理できるものではありません。

 

「人の健康に係る項目」

名称 項目数 概要 規制レベル 検査
環境基準

公共用水域:27項目


地下水:28項目

水質汚濁に関する施策を総合的かつ有効適切に講ずる必要があるもの 各都道府県が常時監視しなければならない
要監視項目

公共用水域:27項目


地下水:25項目

検出状況を考慮して、引き続き公共用水域等の検出状況などの知見の収集に努めるべきもの 国及び都道府県が調査の実施に努める
要調査項目 136項目 リスクが比較的大きくなかったり不明であったりするが、知見の収集が必要なもの 環境省や研究機関により調査や知見の収集を行う

 

 

 

 

本ページ作成にあたり参考にした資料等

厚生労働省

令和4年度第9回薬事・食品衛生審議会薬事分科会化学物質安全対策部会化学物質調査会令和4年度化学物質審議会第4回安全対策部会第231回中央環境審議会環境保健部会化学物質審査小委員会【第一部】配布資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_30318.html

・資料1-1(https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/001038697.pdf)

 

 

環境省

令和6年度 第2回水質基準逐次改正検討会

https://www.env.go.jp/council/water_supply/kentoukai/kijun/0000183130_00009.html

 

PFASに対する総合戦略検討専門家会議

https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas.html

・PFOS、PFOAに関するQ&A集(https://www.env.go.jp/content/000150400.pdf)

・PFASに関する今後の対応の方向性(https://www.env.go.jp/content/000150418.pdf)

 

PFASに対する総合戦略検討専門家会議(第3回)議事次第・配付資料

https://www.env.go.jp/water/pfas/pfas_00003.html

・参考資料1(https://www.env.go.jp/content/000140366.pdf)

・参考資料5(https://www.env.go.jp/content/000140362.pdf)

 

 

経済産業省

2023年11月28日 ニュースリリース

「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律施行令の一部を改正する政令」が閣議決定されました

https://www.meti.go.jp/press/2023/11/20231128002/20231128002.html

 

 

 

お問い合わせ

橋本市 上下水道部 水道施設課
〒648-0072
和歌山県橋本市東家一丁目1番19号
電話:0736-33-2861 ファクス:0736-32-8688
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