新型コロナウィルス感染症に関連した人権への配慮について(3)

更新日:2020年08月27日

社会を分断する「不安」の感染

新型コロナウイルスの脅威は私たちの日常を変えました。そして今、「不安や恐れ」「偏見・差別」がまるで二・第三の”感染”のように広がりつつあります。

『病気を恐れる心が偏見や差別を生み出し、ウイルスの封じ込めを困難にしてしまう。』

森光玲雄:諏訪赤十字病院 臨床心理士/国際赤十字・赤新月社連盟心理社会センター 登録専門家〉

 

命を脅かすものを恐れる。これはどんな動物にも備わっている本能であり、本来恐怖心は生存の確率を高めてくれる良いもののはずです。しかし、新型コロナウイルスの発生以降「正しく恐れる」ことがとても難しくなってきているように見えます。なぜ、難しいのでしょうか?
 人間の脳は、見えない対象を恐れることがとても苦手です。脅威を明確に認識するためには、見える「対象」が必要なのです。見える対象を遠ざけることでかりそめの安心感が得られますから、安心するために嫌悪すべき対象を無意識的に探します。これが今回、ウイルスを連想させる「人種」「地域」「職種」「人」などが嫌悪の対象となり、偏見・差別が生まれているメカニズムなのです。
「病気を恐れる心が生み出す偏見や差別」。これは、さらに2 つの弊害をもたらす危険性もあります。1つ目の弊害は、偏見や差別が広がると、自分が非難、差別されることを恐れ、必要な相談・ 検査を受けることをためらってしまうこと。結果として、感染拡大を助長してしまう可能性があります。2つ目の弊害は、医療者の疲弊です。検査や治療など、最前線で感染者への対応に忙殺されている全国の医療者。しかし現在、こうした保健医療機関のほとんどが、風評被害や嫌がらせを恐れて神経をすり減らしています。未知の感染症との戦いは長期戦で「最前線でウイルスに対応し続ける医療従事者が倒れたらもうおしまい」。これがSARSやエボラ対応から人類が得てきた教訓です。彼らを忌避や攻撃の対象として扱うのではなく、むしろ応援し支えるべき対象であると社会全体で声を出すことも早期解決につながります。
「正しく恐れる」のは難しいものですが、過度に恐れすぎると気づかぬうちに犯人探しや攻撃に加担していることもあるかもしれません。まずはご自分と家族の感染予防を徹底しつつ深呼吸! こんなときだからこそ身近な人と支え合うことから始めてみませんか。

 

「不安」から心を守る 5つの方法

落ち着きを取り戻すために、次のような方法を試してみましょう。

[1]
まずはリラックス。ほっとする時間を作ろう。
[2]
熱中できたり心が晴れる活動に時間をさく。運動も効果的!
[3]
この「騒ぎ」から一歩引いて、別の視点を持つ人と話をしてみる。
[4]
「その情報は正しい?」冷静に情報の信頼性を考えよう。
[5]
食べて(健康的な食事)、寝て(質の良い睡眠)、自分をいたわろう。

 

<2020年4月号赤十字NEWSの記事よりご紹介します。>

 

 

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