救命処置の流れ成人・小児編
処置の流れ(心肺蘇生法とAEDの使用)成人・小児編

1.安全の確認
2.反応の確認
3.助けを呼び119番通報・AED依頼(通信指令員の指導に従う)
4.呼吸の確認
5.心肺蘇生法を開始する(胸骨圧迫と人工呼吸)
6.AED装着
7.AEDの使用と心肺蘇生の継続
1.安全の確認
・誰かが突然倒れるところを目撃したり、倒れているところを発見した場合には、
近寄る前に周囲の安全を確認します。自分の安全を確保したうえで、傷病者を
救護します。
◎ポイント
・危険がなくなる、あるいは排除できるまで、近寄ってはいけません。もし、救
護者が怪我等をした場合、救護者も傷病者になってしまうからです。
2.反応の確認
・傷病者の耳もとで「大丈夫ですか」または「もしもし」と大声で呼びかけながら、
肩をやさしくたたき、反応の確認をします。
◎ポイント
・呼びかけなどに対して目を開ける等の動作がなければ「反応なし」と判断し
ます。
・けいれんのような全身がひきつるような動きは「反応なし」と判断します。
・反応があれば、傷病者の訴えを聴き、必要な応急手当を行います。
・反応がない場合やその判断に自信が持てない場合には、心停止の可能性
があります。大きな声で「誰か来て!人が倒れています!」と助けを求めま
す。
3.助けを呼び119番通報・AED依頼(通信指令員の指導に従う)
・助けを求め、協力者が駆けつけたら、「あなたは119番へ通報してください」「あ
なたはAEDを持ってきてください」と具体的に依頼します。
◎ポイント
・協力者が誰もおらず、救助者が一人の場合には、まず自分で119番通報を
してください。また、近くにAEDがあることがわかっている場合には、AEDを
取りに行ってください。
・応急手当の手順がわからない場合でも、119番通報をすれば、通信指令員
が呼吸の確認等の手順を指導してくれます。
4.呼吸の確認
・傷病者が「普段どおりの呼吸」をしているかどうかを確認します。
・10秒以内で傷病者の胸や腹部の上がり下がりを見て、「普段どおりの呼吸」を
しているか判断します。
・反応はないが、「普段どおりの呼吸」がある場合は、様子を見ながら応援や救
急車の到着を待ちます。
◎ポイント
次のいずれかの場合には、「普段どおりの呼吸なし」と判断します。
・胸や腹部の動きがない場合
・約10秒間確認しても呼吸の状態がよくわからない場合(自信が持てない場
合)
5.心肺蘇生法を開始する(胸骨圧迫と人工呼吸)
ア.胸骨圧迫
・傷病者に「普段どおりの呼吸」がない場合、あるいはその判断に自信が持て
ない場合には、心停止と判断し、直ちに胸骨圧迫を開始します。胸骨圧迫に
よって、全身に血液を送ることが期待できます。胸の左右真ん中にある胸骨
の下半分を、重ねた両手で強く、速く、絶え間なく圧迫します。
・胸骨下半分に、片方の手の付け根を置きます。
・他方の手をその手の上に重ねます。両手の指を互いに組むと、より力が集中
します。
・両肘をまっすぐに伸ばして手の付け根の部分に体重をかけ、傷病者の胸と垂
直になるよう心がけ、胸が約5センチメートル沈むまでしっかり圧迫します。
・1分間に100~120回の速いテンポで連続して絶え間なく圧迫します。
・圧迫と圧迫の間(圧迫を緩めるとき)は、十分に力を抜き、胸が元の高さに戻
るようにします。
・小児には、両手または体格に応じて片手で、胸の厚さの約3分の1が沈むまで
しっかり圧迫します。
◎ポイント
・約5センチメートルは、単三電池の長さとほぼ同じです。
・心肺蘇生を行っている間は、AEDの使用や人工呼吸を行うための時間以外
は、胸骨圧迫をできるだけ中断せず、絶え間なく続けることが大切です。
イ.人工呼吸
・30回の胸骨圧迫が終わったら、直ちに気道を確保し人工呼吸を行います。
a.気道確保(頭部後屈あご先挙上法:とうぶこうくつあごさききょじょうほう)
・傷病者ののどの奥を広げて空気を肺に通しやすくします(気道の確保)
片手を額に当て、もう一方の手の人差し指と中指の2本をあご先(骨のある硬
い部分)に当てて、頭を後ろにのけぞらせ(頭部後屈)、あご先を上げます(あ
ご先挙上)。
◎ポイント
・指で下あご(骨の部分)を指を当て、口が閉じないように添える程度としま
す。
b.人工呼吸(口対口人工呼吸)
・気道を確保したまま、額に当てた手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまみ
ます。
・口を大きく開けて傷病者の口を覆い、空気が漏れないようにして、息を約1秒
かけて吹き込みます。傷病者の胸が上がるのを確認します。
・いったん口を離し、同じ要領でもう1回吹き込みます。
◎ポイント
・2回の吹き込みで、いずれも胸が上がるのが理想ですが、もし、胸が上がら
ない場合でも、吹き込みは2回までとし、すぐに胸骨圧迫を再開します。
・人工呼吸をしている間は胸骨圧迫が中断しますが、その中断時間は可能な
限り短くします。
・傷病者の顔面や口から出血している場合や、口と口を直接接触させて口対
口人工呼吸を行うことがためらわれる場合には、人工呼吸を省略し、胸骨
圧迫のみを続けます。
c.心肺蘇生(胸骨圧迫と人工呼吸)の継続
・胸骨圧迫を30回連続して行った後に、人工呼吸を2回行います。
・この胸骨圧迫と人工呼吸の組み合わせ(30:2のサイクル)を、救急隊員と交
代するまで絶え間なく続けます。
・人工呼吸ができない場合には、胸骨圧迫のみを行います。
◎ポイント
・救助者が2人いる場合には、疲労により胸骨圧迫の質が低下しないよう、1
~2分間程度を目安に交代して下さい。
6.AED装着
・AEDが届いたらすぐにAEDを使う準備を始めます。
ア.AEDを傷病者の近くに置く。
イ.AEDの電源を入れる。
・AED本体のふたを開け、電源ボタンを押します。(ふたを開けると自動的に電
源が入る機種もあります)
◎ポイント
・基本的に、AEDのガイダンスに従うことで、使用可能となります。
ウ.電極パッドを貼る。
・傷病者の衣服を取り除き、胸をはだけます。
・電極パッドの袋を開封し、電極パッドをシールからはがし、粘着面を傷病者の
胸の肌にしっかりと貼り付けます。
・機種によっては、電極パッドのケーブルを接続するために、ケーブルのコネク
タをAED本体の差込口(点滅している)に差し込むものがあります。
◎ポイント
・AED本体に成人用と小児用の2種類の電極パッドが入っている機種や成人
用モードと小児用モードの切替えがある機種があります。その場合には、小
学生以上(小学生を含む)には成人用の電極パッド(成人用モード)を使用
し、未就学児には小児用の電極パッド(小児用モード)を使用してください。
小学生以上には、小児用の電極パッド(小児用モード)は使用しないでくだ
さい。
・電極パッドは、胸の右上(鎖骨の下)及び胸の左下側(脇の5~8センチメー
トル下)の位置に貼り付けます。(貼り付ける位置は電極パッドに絵で表示さ
れていますので、それに従って下さい。)
・電極パッドを貼り付ける際にも、できるだけ胸骨圧迫を継続してください。電
極パッドは、肌との間にすき間を作らないよう、しっかりと貼り付けます。アク
セサリーなどの上から貼らないように注意します。
エ.心電図の解析
・電極パッドを貼り付けると“体に触れないでください”などと音声メッセージが
流れ、自動的に心電図の解析が始まります。このとき、AED操作者は「み
なさん、離れて!!」と注意を促し、誰も傷病者に触れていないことを確認し
ます。
・AEDは、電気ショックを行う必要があると解析した場合には“ショックが必要で
す”、必要がないと解析した場合には“ショックは不要です”などの音声メッ
セージを流します。
・“ショックは不要です”といった音声メッセージの場合は、救助者は直ちに胸骨
圧迫を再開します。
オ.電気ショック
・AEDが、電気ショックが必要と解析した場合は、“ショックが必要です”といった
音声メッセージとともに自動的にエネルギーの充電を始めます。充電には数
秒かかります。
・充電が完了すると、“ショックボタンを押して下さい”といった音声メッセージと
ともに、ショックボタンが点灯して、充電完了の連続音が出ます。
・AEDの操作者は、「ショックを行います。みなさん、離れて!!」と注意を促
し、誰も傷病者に触れていないことを確認して、ショックボタンを押します。
◎ポイント
・AED操作者は、ショックボタンを押す際は、必ず自分も傷病者から離れ、誰
も傷病者に触れていないことを確認します
・電気ショックによって、傷病者の腕や全身の筋肉がけいれんしたように一
瞬ビクッと動きます。
カ.心肺蘇生の再開
・電気ショックを行ったら、直ちに胸骨圧迫を再開します。
◎ポイント
・AEDを使用する場合でも、AEDによる心電図の解析や電気ショックなど、や
むを得ない場合を除いて、胸骨圧迫の中断をできるだけ短くすることが大切
です。
7.AEDの使用と心肺蘇生の継続
・心肺蘇生を再開して2分ほど経ったら、再び、AEDが自動的に心電図の解析を
行います。音声メッセージに従って傷病者から手を離し、周りの人も傷病者か
ら離れます以後は、心肺蘇生とAEDの使用の手順を、約2分間おきに救急隊員
と交代するまで繰り返します。
■心肺蘇生を中止してもよい場合
・医師または救急隊が到着し、絶え間ない胸骨圧迫を交代することができると
き
・救助者自身の安全の確保が困難になったとき【疲労や危険が迫るなど】
・傷病者が普段どおりの呼吸をし始める、あるいは目を開ける、体を動かすな
ど見られる場合は「反応がある」とみなし中止します。
更新日:2022年07月13日