定福寺九重塔
定福寺九重塔(じょうふくじきゅうじゅうのとう)
橋本市賢堂の定福寺境内に建つ砂岩製層塔で、基礎部の銘から弘安8年(1285)に建立されたことが知られます。塔の九輪の6段目以上と8層目が欠損しており、完形ではありませんが、石造層塔は橋本市内でも数少なく、さらに年代が明らかな資料であることは極めて重要です。『紀伊続風土記』の定福寺の項に「村中にあり、境内東の岸に古き九重の石塔あり、銘に弘安第八暦二月願主とありて其余読みかたし」とあり、また、『伊都郡学文路村誌』には、「何の為に建立されたものかに就いては異説紛々、或は朝鮮より渡来せりといひ、容易に判定し難いが、塔の下には石棺を埋めてあると言はれ『一村大飢饉の際に非ざれば発掘すべからず』と伝えがあるとて人々畏怖して手を触れず」と記され、この塔の由来については詳らかではありません。
定福寺九重石塔基部刻銘
弘安第/八暦乙酉/二月十三日/願主黄善/敬白
の文字が読み取れます。
更新日:2016年09月15日