嵯峨谷の六地蔵六面石幢

更新日:2016年09月15日

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嵯峨谷(さがたに)の六地蔵六面石幢(ろくじぞうろくめんせきとう)

 六面石幢は六角柱の幢身に笠を載せた単制のものと、石燈籠風のものとがあり、嵯峨谷の六地蔵六面石幢は砂岩製の単制のものです。初期の六面石幢は幢身が長く背の高いものが見られますが、本例は総高89.8cm(うち幢身70cm)背が低く、塊量感を感じさせます。笠は大きく外に開き六角形の各隅には方立風隅飾が立ち上がるため、全体としてはやや重量感が軽減されて見えます。

 幢身の各方面には高さ52.5cmの光背を彫り窪め、なかに像高38cmの地蔵菩薩立像を彫り残して浮き彫りにしています。光背の最深の部分で5.3cmを測り、洗練された精緻な作風は地方の石仏とは考えられず、専門の知識と技術をもった石工の作とみられます。

 幢身正面の左右両側には刻銘が残され、南北朝時代の北朝年号の貞和5年(1349)の年紀が読み取れ、六面石幢として比較的初期の作品として貴重です。また、六面石幢に六地蔵を刻したもので本例より古い資料は見当たらず、六地蔵六面石幢としては国内最古の例とみられ、非常に貴重な資料と言えます。

【刻銘文】

  (向かって右側)  為悲母西妙悲■吾孝霊聖也

        (地蔵菩薩立像)

  (向かって左側)  貞和五(以下欠損)

 

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六地蔵六面石幢正面の地蔵立像左上部に「貞和五」の刻銘が読み取れます。

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