野の送り念仏

更新日:2016年03月31日

仏送り

野の送り念仏(ののおくりねんぶつ)

 念仏とは、「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」を唱(とな)えるということで、西方極楽浄土(ごくらくじょうど)の阿弥陀仏にすがって、死後は極楽往生(おうじょう)できるとされる信仰です。阿弥陀仏を崇拝(すうはい)する浄土信仰は、貴族などの有力者の間で平安時代から盛んになりますが、平安時代末期からは優れた宗教者が出て一般にも広がっていきました。

 はじめは融通念仏(ゆうずうねんぶつ)という何人もの人たちが念仏を唱和(しょうわ)するものであったのが、多くの人たちが踊りながら念仏する大念仏(だいねんぶつ)に、さらに中世後半には月の六斎日(ろくさいじつ)に念仏する六斎念仏が村々で行われるようになりました。

 橋本市野に伝わる念仏講の行事はこの六斎念仏が伝わっているもので、今では盆行事に集約されているようですが、この仏送りの行事は盆行事の中心とみられます。8月14日はいくつもの行事の後、午後11時、野地区を東西に通じる伊勢(大和)街道の4か所の辻から念仏講5人の鉦(1人は高張提燈)の先導で、盆の経木(きょうぎ)や新仏の棚などを手にした地域のみなさんが仏送りの会場である金毘羅橋横の河原へと向います。

 河原では念仏講の5人に先導された地域のみなさんが経木や新仏の棚を中央に積み上げるとともに、周囲でロウソクに火を灯して先祖を送る準備をします。集まったところで中央の経木や棚などに火が点けられ、仏送りの行事が最高潮に達します。長い竹竿で火の調節をするのが新仏が出た家の人で、行事最後まで残って火の始末をするまで帰れないとのことです。この間、念仏講の5人は今では絶えてしまった念仏の録音を流しながら鉦を叩き、仏送りを見守り続けます。

 

鉦と高張提燈の先導

鉦の先導で仏送り会場へ

ロウソクに火を灯して仏を送る

会場ではロウソクに火を灯して仏を送る

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