○橋本市議会基本条例

平成26年7月2日

条例第54号

目次

前文

第1章 総則(第1条・第2条)

第2章 議会及び議員の活動原則(第3条―第5条)

第3章 市民と議会の関係(第6条―第8条)

第4章 行政と議会の関係(第9条・第10条)

第5章 議会の活動(第11条―第13条)

第6章 委員会の活動(第14条)

第7章 議員の活動(第15条―第18条)

第8章 議会及び議会事務局の整備体制(第19条―第22条)

第9章 改正(第23条)

第10章 最高規範性(第24条)

附則

前文

平成12年4月にいわゆる地方分権一括法が施行されて以来、地方自治体の自己責任及び自己決定の範囲が拡大され、二元代表制のもと議会が果たすべき責任及び役割がさらに大きく求められている。

橋本市は、平成18年3月1日、旧橋本市と旧高野口町が合併し、人口約7万人の新しいまちとして誕生した。世界遺産の霊峰高野山、金剛・和泉葛城山系のみどり豊かな大地と清流紀の川の恵みを受け、緑と水が輝く「時間ゆたかに流れ くらし潤う創造都市 橋本」を将来像としたまちづくりを進めている。

橋本市議会は、本市のまちづくりの基本理念にかんがみ、市民の負託に応えるべく、議員間相互の議論を深めて合意形成を図り、「市民に開かれた議会」と「住民自治の実現」そして、議会活動の充実強化、合理化、効率化を図り、より本市発展に寄与する議会にすることを目的とする中、まずはわかりやすく開かれた議会を目指し議会改革に取り組むこととした。

議会のあるべき姿、それは市民の声を市政に反映させるために市民と情報や課題を共有すること、行政の執行が適正に行われるように議会の監視機能を強化すること、責任ある決定を行うために合意形成を目指して活発な議員間の意見交換を行うこと、そして、市の政策水準の向上を図るために積極的に政策提言を行うことである。

よって、橋本市議会は、市民との協働による、民主的で輝く未来につながるまちづくりに全力で取り組んでいくことを決意し、ここに最も根幹となる支柱としてこの条例を制定する。

第1章 総則

(目的)

第1条 この条例は、橋本市議会(以下「議会」という。)及び橋本市議会議員(以下「議員」という。)に係る基本的事項を定め、市民の信頼に応える責任ある活動により橋本市のまちづくりを推進し、市民福祉の向上と公正で民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。

(議会の役割)

第2条 議会は、市民の代表で構成する市の意思決定機関であり、議決の責任を負う。

2 議会は、行政活動の監視及び政策の立案を行う。

第2章 議会及び議員の活動原則

(議会の活動原則)

第3条 議会は、次の各号に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 公平性及び透明性を確保し、市民に開かれたわかりやすい議会運営を行うこと。

(2) 市民に積極的な情報公開を行うとともに、説明責任を果たすこと。

(3) 自由闊達な議論を行い、市政の課題に関する論点及び争点を明らかにし、市長等の執行機関(以下「市長等」という。)と議員が熟議対論する場となるよう努めること。

(4) 市政への市民参加を推進するため、多様な機会を設けること。

2 円滑で市民にわかりやすい議会運営を行うために、この条例に規定するもののほか、議会運営の基本となる橋本市議会会議規則(平成18年橋本市議会規則第1号)橋本市議会委員会条例(平成18年橋本市条例第229号)及び橋本市議会申し合わせ事項を別に定め、適宜又は継続的に見直すこととする。

(議員の活動原則)

第4条 議員は、次の各号に掲げる原則に基づき活動しなければならない。

(1) 議員である前に人としての倫理観を正しく持つこと。

(2) 市民の負託に応えるため、市民の代表として良心と責任を持ち、議員としての品位を保持し、識見を養うこと。

(3) 議会が言論の場であること及び合議制機関であることを認識し、議員間の自由な意見交換に努めること。

(4) 市政全般に関する課題、市民の意見、要望等を的確に把握するとともに、自らの能力を高める不断の研鑽に努め、市民の代表として相応しい振る舞い、活動を行うこと。

(5) 議会の構成員として、一部の団体又は地域等に偏ることなく、市民全体の福祉の向上を目指して活動すること。

(会派)

第5条 議員は、議会活動を行うため会派を結成することができる。

2 会派は、政治的信条、政策等を共有する2人以上の議員で構成し、運営することとする。

3 会派は、政策立案、政策決定及び政策提言等に関し、必要に応じ会派間で調整を行い、合意形成に努めるものとする。

4 議長は、必要があると認めるときは、会派の代表者による会議(以下「代表者会議」という。)を開催することができる。

5 代表者会議に関し必要な事項は、別に定める。

第3章 市民と議会の関係

(市民と議会の関係)

第6条 議会は、議会の活動に関する情報公開を行うとともに、情報の共有を推進し、説明責任を果たさなければならない。

2 議会は、本会議のほか、常任委員会、議会運営委員会及び特別委員会(以下「委員会」という。)を原則公開とする。

3 議会は、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第100条の2の規定による専門的知見の活用並びに法第109条第5項及び法第115条の2の規定による公聴会制度及び参考人制度を十分に活用して、市民の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるよう努めるものとする。

4 議会は、請願を市民からの政策提言と受け止め、審査等にあたっては請願者の説明機会の確保に努めるとともに、審査等に必要がある場合は当該請願者の意見を聴くものとする。ただし、陳情、要望についてはこの限りでない。

5 議会は、市民に対し、議会での審議経過及び結果について報告するとともに、市民との意見交換の場を多様に設け、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提言の拡大を図るものとする。

(広報及び広聴委員会)

第7条 議会は、広報広聴機能の充実のため、広報広聴委員会を設置することができる。

2 広報広聴委員会に関し必要な事項は、別に定める。

(議会報告会)

第8条 議会は、市政の諸課題に対処し、市民参加及び市民との連携を高める方策として、市民に対する議会報告会を開催し、自由に情報及び意見を交換するものとする。

2 議会報告会に関し必要な事項は、別に定める。

第4章 行政と議会の関係

(市長等との関係の基本原則)

第9条 議会及び議員は、二元代表制に係る市長等との立場及び権能の違いを踏まえ、緊張ある関係の構築と保持に努めなければならない。

2 議会における質疑は、論点及び争点を明確にして行うものとする。また、一般質問については、一問一答方式により行うものとする。

3 議長又は委員長は、会議等における審議又は審査の充実を図るため、会議等の論点等を明確にする必要があると認めるときは、議長から本会議及び委員会に出席を要請された市長等に対し、確認及び釈明発問の機会を付与することができる。

4 議会は、市長等が提案する重要な政策については、議会審議を通じて政策水準の一層の向上を図るため、必要な情報を明らかにするよう求めるものとする。

(法定外の執行機関委員の就任)

第10条 議員は、二元代表制及び住民自治の観点から、市長等が設置する法定外諮問機関及び審議会等の委員に原則として就任しないこととする。

第5章 議会の活動

(議会審議における論点の明確化)

第11条 議会は、市長等が提案する重要な政策等について、論点を明確にし、深く審議を行うため、市長等に対し、次の各号に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。

(1) 政策等の発生源

(2) 提案に至るまでの経緯

(3) 他の自治体の類似する政策等との比較検討

(4) 市民参加(パブリックコメント等含む)の実施有無とその内容

(5) 総合計画との整合性

(6) 実施に係る財源措置

(7) 将来にわたるコスト計算

2 議会は、予算及び決算の審査に当たり、前項の規定に準じて、わかりやすい施策別又は事業別の予算及び決算の概要資料等の提出と説明を市長等に求めるものとする。

(議決事項の拡大)

第12条 法第96条第2項の規定に基づく議会の議決事項は、議会が市政における重要な政策の決定に参画する観点と、市長等の政策執行上の必要性を比較し、橋本市議会の議決すべき事項を定める条例(平成18年橋本市条例第228号)に定めるものとする。

(議会による研修)

第13条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、充実した議員研修を実施するものとする。

第6章 委員会の活動

(委員会の活動)

第14条 委員会は、その特性を活かし、専門的及び具体的な議論により議案等の審査を行い、資料等を積極的に公開し、市民にわかりやすい議論を行うよう努めなければならない。

2 委員会は、市民からの要請があれば、必要に応じて審査の経過等の説明及び意見交換等の場を設けるよう努めるものとする。

3 委員会は、議会における政策立案及び政策提案を積極的に行うものとする。

第7章 議員の活動

(議員の政治倫理)

第15条 議員は、市民の代表者としてその倫理性を自覚し、良心及び責任感を持って、議員の品位を保持し、見識を高めなければならない。

2 議員は、公務外の活動においても、常に品位を保持し、いかなる場合においても、公平、公正な判断により行動するものとする。

3 議員の辞職及び資格の決定、紀律、懲罰については、法第126条から第137条の規定による。

4 政治倫理に関し必要な事項は、別に定める。

(議員による研修及び調査研究)

第16条 議員は、資質、政策形成及び立案能力の向上を図るため、研修と調査研究に努めるものとする。

(議員定数及び議員報酬)

第17条 議員定数は、橋本市議会議員定数条例(平成21年橋本市条例第24号)、議員報酬は、橋本市報酬及び費用弁償等支給条例(平成18年橋本市条例第56号)にそれぞれ定めるところによる。

2 議員定数は、議会の使命及び活動原則に基づき、議会の機能を果たすために必要な数を基本とし、人口、面積、財政力及び類似市と比較検討するとともに、市政の現状、事業課題及び将来予測と展望を十分考慮するものとする。

3 議員報酬は、市民の負託を受けた議員の職務遂行に対し支給されるものであることを議員は自覚し、議員定数と同様の理念に基づいて決定されるものである。

4 議員定数及び議員報酬に関する規定を改正しようとするときは、基準等明確な改正理由を示すものとし、議会活動の評価等に関して市民の意見を聴取するため、参考人制度及び公聴会制度を活用することができる。

5 議員定数及び議員報酬に関する規定の改正については、市民の直接請求による場合及び市長が提出する場合を除き、法第109条第6項又は法第112条第1項の規定に基づき、委員会又は議員が、明確な改正理由を付して提出するものとする。

(政務活動費)

第18条 政務活動費は、政策の立案及び提案並びに市政に関する調査及び研究活動に資するために交付するものとする。

2 議員は、政務活動費の使途について明確にし、市民の求めに応じて公開しなければならない。

3 政務活動費に関し必要な事項は、別に定める。

第8章 議会及び議会事務局の整備体制

(予算の確保)

第19条 議会は、二元代表制の趣旨を踏まえ、議決機関としての機能を充実、確保するとともに、より円滑な議会運営を実現するため、必要な予算の確保に努めるものとする。

(議会事務局の体制整備)

第20条 法第138条第2項の規定に基づき、議会に事務局を置く。

2 事務局は、議会活動に必要とされる行政情報の収集に努めなければならない。

3 議会は、議会の政策立案能力を向上させ、議会活動を円滑かつ効率的に行うため、事務局の調査及び法制機能の充実を図るものとする。

(議会図書室)

第21条 議会は、議員の調査研究に資するため、議会図書室の充実に努め、その有効活用を図るものとする。

(議会広報の充実)

第22条 議会は、議案に対する各議員の対応を議会広報で公表するなど、市民に対して情報の提供に努めなければならない。

2 議会は、情報技術の発達等を踏まえた多様な広報手段を活用することにより、多くの市民が議会と市政に関心を持つよう議会広報活動に努めなければならない。

第9章 改正

(見直し手続き)

第23条 議会は、議会改革の継続的な取り組みを進めるため、この条例の施行後、常に市民の意見、社会情勢の変化等を勘案して議会運営にかかわる不断の評価と改善を行うとともに、必要に応じてこの条例の目的が達成されているかを検証するものとする。

2 議会は、前項の検証結果に基づいて、改善が必要と認める場合はこの条例の改正を含めて適切な措置を講ずるものとする。

3 議会は、この条例を改正するにあたっては、議員全員が賛同する場合であっても、本会議において改正の理由を詳しく説明しなければならない。

第10章 最高規範性

(最高規範性)

第24条 この条例は、議会の最高規範であり、議会はこの条例の趣旨に反する議会に関する他の条例、規則等を制定してはならない。

2 議会は、議員全員にこの条例の理念を理解させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例に関する研修を行わなければならない。

この条例は、公布の日から施行する。ただし、第10条の規定は、平成27年5月1日から施行する。

橋本市議会基本条例

平成26年7月2日 条例第54号

(平成27年5月1日施行)

体系情報
第2編 会/第1章
沿革情報
平成26年7月2日 条例第54号