○橋本市火災調査規程

平成18年3月1日

消防本部訓令第15号

目次

第1章 総則(第1条―第5条)

第2章 調査員の心得(第6条―第13条)

第3章 調査の実施

第1節 通則(第14条―第17条)

第2節 現場保存(第18条―第20条)

第3節 証拠保全(第21条―第28条)

第4節 調査(第29条―第33条)

第4章 原因調査(第34条)

第5章 損害調査(第35条)

第6章 報告(第36条―第40条)

第7章 雑則(第41条―第43条)

附則

第1章 総則

(趣旨)

第1条 この訓令は、消防法(昭和23年法律第186号)第7章に定める火災の原因及び損害の調査(以下「調査」という。)を行うことに関し必要な事項を定めるものとする。

(調査の目的)

第2条 調査は、火災が発生した消防対象物の燃焼状況を観察して出火点を探究し、発火源、着火物及びその相互間に燃焼現象が生じて火災となった原因を調査するほか、火災が拡大し、若しくは延焼した場合又は死傷者を生ずるに至った場合には、その理由を明らかにすることを目的とする。

(調査の方法)

第3条 調査は、火災現場の観察並びに関係のある者に対する質問及び関係資料の収集等によりり災物の出火前の状況、燃焼程度、経路及び特徴等を明らかにして行わなければならない。

2 前項の調査に当たっては、出火当時の気象状況、火災を覚知した時刻及び関係者の供述等を参考として行わなければならない。

(調査体制の確立)

第4条 消防長又は消防署長は、前条の調査を迅速かつ適確に処理するため調査に従事する職員(以下「調査員」という。)を常に配置し、調査体制を確立しておかなければならない。

2 前項の調査員以外の消防職員は、調査の補助をすることができる。

(調査員の資格)

第5条 前条の調査員は、調査事務に必要な知識を有すると消防長又は消防署長が認めた者の中から消防長又は消防署長が選任する。

第2章 調査員の心得

(常時の心得)

第6条 調査員及び調査事務に従事する職員(以下「調査員等」という。)は、常に社会の変せん及び人心の動向に留意し、調査技術の研さん及び調査に必要な知識のかん養に努め、科学的調査の実を上げるように心掛けなければならない。

(職責の自覚)

第7条 調査を行うに当たっては、常に社会の安寧秩序の維持及び公共福祉の増進に資することを自覚し、原因の探究に当たっては不撓不屈の精神を持って臨み、冷静周密に調査を行わなければならない。

(協力一致)

第8条 調査員等は、相互に連絡強調して常に調査全般の進展を期するように努めなければならない。

(警察との協力)

第9条 調査員等は、警察職員と緊密な連絡を保ち、互いに協力して意思の疎通を図るようにしなければならない。

(関係者への接遇)

第10条 調査員等は、調査に当たっては厳正かつ公正を旨として、火元責任者その他の関係者(以下「関係者」という。)の基本的人権を尊重して調査を行い、いたずらに人心を動揺させないように心懸けなければならない。

(少年等に対する処遇)

第11条 少年又はこれに準ずる者の関係する火災の調査に当たっては、それらの者の将来又は現況を考慮し、温情と理解を持ってこれを行わなければならない。

(秘密の保持)

第12条 調査員等は、関係者の名誉をき損しないように留意し、調査によって知り得た事項は、みだりに他に漏らしてはならない。

(民事不介入)

第13条 調査は、原因の究明又は損害調査上必要な事項に限るものとし、みだりに関係者の民事問題等に関与してはならない。

第3章 調査の実施

第1節 通則

(調査の原則)

第14条 調査に当たっては、事実の確認を主眼とし、先入観をもち、又は個人的感情に走ることなく常に科学的かつ合理的に判断して事実の立証及び現状の把握に努めなければならない。

(資料の収集及び保存)

第15条 調査に当たっては、火災の状況、現場付近の事象及びその被害状況を綿密詳細に観察し、調査上必要な物的人的資料を広く収集し保全しなければならない。

(状況見分)

第16条 調査員及び消防隊員は、出動途上及び炎上中の現場において火炎の色、臭い、燃焼音等の特徴、火災の経過、関係者の動向その他原因の判定に必要な事項を把握しなければならない。

2 前項の把握した事項を火災出動時における見分調書(様式第1号の1)に記さなければならない。

3 調査員は、鎮火後の現場においては、次に掲げる事項について詳細に観察しなければならない。

(1) 被災物の被災の程度及び範囲

(2) 被災物の形状、構造及び規模

(3) 焼損物の焼損の差異又は濃淡の状況

(4) 焼損物の倒壊及び堆積の状況

(5) 焼損物の変質及び変化の状況

(6) 前各号に掲げるもののほか、必要な事項

4 調査員は、前項の観察した事項を実況見分調書(様式第1号の2)に記録しなければならない。

5 前項の調書の作成に当たっては、写真、図面等を添付するよう努めなければならない。

6 調査員は、鎮火後の観察に当たっては、関係者の立会いの上行うよう努めなければならない。

(質問)

第17条 調査員等は、火災原因の決定又は被害状況の把握のため必要がある場合は、関係者に対し質問を行い、その事実の確認に努めなければならない。

2 調査員等は、質問を行うに当たっては強硬手段を避け、その場所及び時期等を考慮し、関係者から任意の供述を得るように心懸けなければならない。

3 調査員等は、質問を行うに当たり自己が期待し、又は希望する供述を関係者に暗示する等みだりにその供述を誘導してはならない。

4 調査員等は、質問により知り得た事項で原因決定上必要と認めるものは、質問調書(様式第2号)により記録しておかなければならない。

5 前項の調書は、被質問者に閲覧させるか又は読み聞かせて誤りのないことを確かめさせ、同人が、調書の内容について増減変更を申し立てたときは、その供述を調書に記載しておかなければならない。

6 被質問者が調書に誤りのないことを申し立てたときは、これに署名押印を求めることができる。ただし、これを拒んだ場合は、この限りでない。

7 調査のため関係者に出頭を求めて質問を行う場合は、当該関係者の承諾を得て任意出頭によるものでなければならない。

8 出頭を求める場合は、調査のため特に必要があると認めるときに限るものとし、夜間の呼出しは努めて避けなければならない。

9 出頭を求めた場合は、呼出簿(様式第3号)に記録しなければならない。

第2節 現場保存

(現場保存区域の設定)

第18条 消防長又は消防署長は、火災の発生場所及び焼失の状況により現場保存区域を設定し、調査資料の発見に資するよう努めなければならない。

2 火災現場にある職員は、調査員であるかどうかにかかわらず、確実に火災現場の保存を行うように努めなければならない。

(現場監視員)

第19条 消防長又は消防署長は、現場保存区域に所要の監視員を配置し、又は適宜の方法をもって現場保存を行い、調査に関係のある者以外を区域内に立ち入らせてはならない。

(消防活動中の保存心得)

第20条 出動消防隊長及び隊員は、延焼阻止のためやむを得ない場合のほかは、火元付近のものをみだりに破壊し、又は移動させてはならない。

2 残火鎮減に際して火元付近の物をみだりに破壊し、又は移動させてはならない。

3 火災現場において焼死者その他変死者を発見した場合は、消防長又は消防署長に報告するとともに所轄警察署長に通報し、現場保存に努めなければならない。

第3節 証拠保全

(証拠保全)

第21条 消防長又は消防署長は、証拠物の保全に当たってはき損し、又は紛失等しないように努め、特にその取扱いに当たっては綿密慎重を期し、現場におけるあらゆる物件の状態位置関係等につき全般には握して、証拠の価値をき損しないように努めなければならない。

(写真撮影)

第22条 消防長又は消防署長は、調査上必要があると認めた場合は火災現場の写真撮影をしなければならない。

2 前項の写真は、火災現場写真台紙(様式第4号)に貼付し、必要な説明を加えておかなければならない。

(証拠資料の引上げ)

第23条 消防長又は消防署長は、調査の証拠資料であって現場に保存しておいては移動、紛失又は破損のおそれのあるものは関係者の承諾を得て、これを適当な場所に引き上げて保管することができる。

(資料の提出命令)

第24条 消防長又は消防署長は、調査上必要があると認める場合は、関係者に対して必要な資料の提出を命じ、又は報告を求めることができる。

2 前項の提出を命じる場合は、調査資料提出命令書(様式第5号)によらなければならない。ただし、軽易なものについては、口頭でも差し支えない。

3 前項及び前条に規定する場合は、関係者から調査資料提出書(様式第6号)を徴し、所有権放棄の意志の有無を確認しなければならない。

(資料の提出)

第25条 消防長又は消防署長は、資料収集のために関係者に対し被害状況を報告させるときは、被害届(様式第7号)によらなければならない。

(保管品の整理)

第26条 消防長又は消防署長は、調査資料又は証拠品を保管する場合は調査資料保管台帳(様式第8号)に記載するとともに、保管物には資料保管標示札(様式第9号上段)をつけて整理し、提出者に対しては資料保管証(様式第9号下段)を交付しなければならない。

(資料の還付)

第27条 消防長又は消防署長は、第23条及び第24条の規定により引き上げ、又は提出させた資料で保管の必要がなくなった場合は、提出者に対し保管証と引換えにこれを返還しなければならない。

2 前項の規定により返還した場合は、前条に規定する保管台帳の受取人欄に署名、押印を徴しておかなければならない。

(資料の送付)

第28条 消防長又は消防署長は、警察署その他の機関から捜査のために参考となる資料送付の要請があった場合は、捜査参考資料引渡書(様式第10号)により送付することができる。

2 前項の規定の場合は、第26条に規定する保管台帳の捜査参考資料引渡欄に所要の記入をなし、受取人の受領印を徴しておかなければならない。

第4節 調査

(調査の原則)

第29条 調査に当たっては、常に事実の確認を主眼とし、先入的観念にとらわれることなく科学的、総合的手段により合理的に原因を究明するよう努めなければならない。

2 調査は、人的調査と物的調査を併用し、その結果を決定する場合には、これを立証する証拠がなければならない。

(火災原因判定書)

第30条 調査員は、前条の規定により火災の原因を究明したときは、火災原因判定書(様式第11号)を作成しなければならない。

2 前項の判定書には、決定しようとする出火原因、火災拡大及び死傷者発生の理由のほか、決定しようとするに至った経緯を系統的に記載しなければならない。

3 被害が軽微であり、かつ、原因が明らかで社会的影響の少ない火災に限り、火災原因の判定のてん末を火災調査書(様式第14号)「原因の概要」に記載することにより、火災出場時における見分調書(様式第1号の1)、実況見分調書(様式第1号の2)及び火災原因判定書(様式第11号)の作成を省略することができる。

(調査の依頼)

第31条 消防長又は消防署長は、調査の適確を期するために必要があると認めるときは、国又は県に対し当該火災の原因調査を依頼することができる。

(鑑定の嘱託)

第32条 消防長又は消防署長は、調査に必要があると認めたときは、関係のある官公署又は学識経験を有する者に対し、必要事項の照会又は鑑定を嘱託することができる。

(鑑定処分の承諾)

第33条 消防長又は消防署長は、前条の嘱託をしようとする場合には鑑定物件の所有者から鑑定承諾書(様式第12号)を徴しておかなければならない。

第4章 原因調査

(調査の判定)

第34条 火災原因の判定は、調査資料及び信ぴょう性の程度によってこれを判定、推定、不明の3つの順位に区別して報告しなければならない。

2 「判定」とは、信ぴょう性の高い各資料を総合することによって、全く疑う余地がなく、その原因が具体的に科学的に確定せられ、何等の推理を必要としない場合をいう。

3 「推定」とは、信ぴょう性のある資料によって直接判定することができないが、推理すれば合理的に一応その原因が推測できる場合をいう。

4 「不明」とは、原因決定の基礎となる資料がないか又は若干の資料があってもその資料の信ぴょう性が低い、かつ、多少の推理を加えても合理的にその原因を推定することができない場合をいう。

第5章 損害調査

(損害額の決定及び損害調査書)

第35条 調査員は、把握した火災により損害を受けた財産(以下「り災物件」という。)及び被害届を総合的に検討し、損害額を決定しなければならない。

2 前項により損害額を決定したときは、損害調査書(様式第13号)を作成しなければならない。

3 り災物件の損害額は、り災した時点における時価又は原価により算出する。

第6章 報告

(報告)

第36条 調査員は、調査の結果を火災発生後30日以内に消防長に報告しなければならない。ただし、やむを得ない理由のため期間内に報告できないときは、その状況を報告し、調査終了後その結果を報告しなければならない。

2 前項の報告は、火災調査書(様式第14号)に原因決定並びに損害確定に関係のある書類及び図面その他必要な資料を添えて行わなければならない。

(審査)

第37条 消防長又は消防署長は、前条第1項の規定により報告された調査結果を審査し、必要があるときはこれを指導し、変更又は再調査を命ずることができる。

(原因の判明)

第38条 調査の結果、原因不明として報告した火災であってもその後原因が判明した場合は、その状況を報告しなければならない。

(署名押印)

第39条 調査報告書類には、作成年月日、作成者の所属及び階級氏名を記載し、押印しなければならない。

(調査の供述)

第40条 調査員等は、職務上知り得た調査結果等について官公署から意見を求められた場合は、事前に消防長又は消防署長に報告し、その指示を受けた後その結果を報告しなければならない。

第7章 雑則

(調査報告書類の保存)

第41条 この規定により作成し、消防長に提出された報告書類の原本は消防長又は消防署長が保存するものとする。

(証明書の発行)

第42条 消防長又は消防署長は、火災等のり災者その他関係のある者から火災に関する証明書の発行については、り災証明願(様式第15号)を提出させ、り災証明書(様式第16号)を発行することができる。

(補則)

第43条 この訓令に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。

この訓令は、平成18年3月1日から施行する。

(平成23年8月18日消本訓令第8号)

この訓令は、平成23年10月1日から施行する。

(平成24年7月19日消本訓令第2号)

この訓令は、平成24年8月1日から施行する。

(平成26年4月1日消本訓令第1号)

この訓令は、平成26年4月1日から施行し、平成26年1月1日より適用する。

(令和3年3月15日消本訓令第1号)

この訓令は、令和3年4月1日から施行する。

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橋本市火災調査規程

平成18年3月1日 消防本部訓令第15号

(令和3年4月1日施行)

体系情報
第12編 防/第1章 消防本部・消防署
沿革情報
平成18年3月1日 消防本部訓令第15号
平成23年8月18日 消防本部訓令第8号
平成24年7月19日 消防本部訓令第2号
平成26年4月1日 消防本部訓令第1号
令和3年3月15日 消防本部訓令第1号