○橋本市環境保全条例

平成18年3月1日

条例第159号

目次

前文

第1章 総則

第1節 通則(第1条・第2条)

第2節 市の責務(第3条・第4条)

第3節 事業者の責務(第5条・第6条)

第4節 市民の責務(第7条・第8条)

第2章 良好な環境の保全に関する基本的施策(第9条―第13条)

第3章 生活環境の保全及び育成

第1節 清潔の保持(第14条―第16条)

第2節 廃棄物の処理(第17条―第19条)

第3節 公害の防止等(第20条・第21条)

第4節 愛がん動物の管理(第22条・第23条)

第4章 自然環境の保全及び育成

第1節 紀の川等の保全(第24条)

第2節 自然環境の保全(第25条―第27条)

第5章 歴史環境の保全(第28条)

第6章 橋本市環境保全審議会の設置(第29条)

第7章 雑則(第30条―第32条)

附則

前文

橋本市は、縄文時代の昔から文化が開け、紀の川に象徴されるような豊かな自然と良好な環境の上に着実に発展してきた。

わたしたちは、この豊かな自然と良好な環境が本市の持つすばらしい財産のひとつであることを改めて認識するとともに、すべての人が健康で安全かつ快適な生活を営み、その恵みを享受できるよう努力し、更に将来の世代にこの豊かな自然と良好な環境を維持し、発展させ、継承していかなければならない。

しかし、近年の急激な社会経済情勢の変化、都市化の進展、生活様式の変化などに伴い、本市においても、豊かな自然と良好な環境が損なわれようとしている。このままでは近い将来、人と自然との調和がとれなくなり、市民の健康で文化的な生活が阻害されることにもなりかねない。

このため、市、事業者及び市民は、相互の連携と自覚のもと総力を結集し、本市の恵まれた自然環境を生かした更によりよい、住みよい環境づくりを基調に、真に豊かな自然と良好な環境を保全し、かつ、創造していかなければならないという基本理念のもと、この条例を制定する。

第1章 総則

第1節 通則

(目的)

第1条 この条例は、すべての市民が健康で文化的な生活を営む上において、良好な環境が極めて重要であることにかんがみ、市、事業者及び市民の責務を明らかにするとともに、良好な環境を保全する施策の基本となる事項を定め、その施策を総合的かつ計画的に推進し、もって市民の良好な環境を保全することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 環境への負荷 人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものをいう。

(2) 良好な環境 市民が健康で文化的な生活を営むことができる生活環境、歴史環境及び自然環境をいう。

(3) 生活環境 人の生活に係る環境をいい、人の生活に密接な関係のある財産並びに人の生活に密接な関係のある動植物及びその生育環境を含むものをいう。

(4) 歴史環境 郷土の歴史的意義を有する建造物、遺跡等が周囲の自然環境と一体をなし、人間性豊かな文化を創造、発展させる基礎となる環境をいう。

(5) 自然環境 自然の生態系をめぐる土地、大気、水及び動植物等を一体として総合的にとらえたものをいう。

(6) 事業者 事業活動を営む者をいう。

(7) 土地所有者等 土地の所有者、管理者又は占有者をいう。

(8) 廃棄物 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する廃棄物をいう。

(9) 公害 環境の保全上の支障のうち、事業活動その他の人の活動に伴って生ずる相当範囲にわたる大気の汚染、水質の汚濁(水質以外の水の状態又は水底の底質が悪化することを含む。)、土壌の汚染、騒音、振動、地盤の沈下(鉱物の掘採のための土地の掘削によるものを除く。)及び悪臭によって、人の健康又は生活環境に係る被害が生ずることをいう。

(10) 空き地 現に人が使用していない土地又は人が使用していても相当の空閑部分を有し、人が使用していない土地と同様の状態にある土地をいう。

第2節 市の責務

(基本的責務)

第3条 市は、良好な環境の保全に関する総合的及び基本的な施策を策定し、これを実施するよう努めなければならない。

(意識の啓発及び活動の育成)

第4条 市は、良好な環境を保全するために率先して環境への負荷の低減に努め、市民及び事業者に対し知識の普及を図るとともに、良好な環境を保全するために行われる活動を育成し、地域の良好な環境づくりが図られるように努めなければならない。

第3節 事業者の責務

(基本的責務)

第5条 事業者は、その事業活動を行うに当たり、これに伴う環境への負荷の低減に努め、良好な環境を損なうことのないよう常に配慮するとともに、必要な対策及び措置を講ずるよう努めなければならない。

(協力義務)

第6条 事業者は、市が実施する良好な環境の保全に関する施策に積極的に協力しなければならない。

第4節 市民の責務

(基本的責務)

第7条 市民は、常に環境への負荷の低減に努めるとともに、地域の良好な環境の保全に努めなければならない。

(協力義務)

第8条 市民は、市が実施する良好な環境の保全に関する施策に積極的に協力しなければならない。

第2章 良好な環境の保全に関する基本的施策

(基本方針)

第9条 市は、第1条の目的を達成するため、次に掲げる基本方針に基づく施策を総合的かつ計画的に推進しなければならない。

(1) 公害を防止し、生活環境の保全及び創造を図ること。

(2) 自然環境の保全、回復及び創造を図ること。

(3) 歴史環境の保全及び活用を図ること。

(4) 安全かつ快適な都市環境の形成を図ること。

(5) 資源の有効利用及び廃棄物の減量を促進すること。

(環境基本計画)

第10条 市長は、前条の基本方針に基づく良好な環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、橋本市環境基本計画(以下「環境基本計画」という。)を策定しなければならない。

2 環境基本計画には、次に掲げる事項について定めるものとする。

(1) 良好な環境の保全に関する長期的な目標及び総合的施策の大綱

(2) 前号に掲げるもののほか、良好な環境の保全に関する施策を総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

3 市長は、環境基本計画を策定するに当たっては、市民及び事業者の意見を適切に反映することができるよう必要な措置を講ずるとともに、第29条に規定する橋本市環境保全審議会の意見を聴かなければならない。

4 市長は、環境基本計画を策定したときは、速やかにこれを公表しなければならない。

5 前2項の規定は、環境基本計画の変更について準用する。

(年次報告)

第11条 市長は、毎年、環境の現状及び良好な環境の保全に関する施策並びにその実施状況について年次報告を作成し、これを公表するものとする。

(教育及び学習の推進)

第12条 市は、市民及び事業者が良好な環境の保全についての理解を深めるとともに、これらの者が環境への負荷の低減に努めることを促進するように、良好な環境の保全に関する教育及び学習の推進が積極的に図られるよう必要な措置を講じなければならない。

2 市は、前項の場合において、特に児童及び生徒の教育及び学習を積極的に推進するために必要な措置を講じなければならない。

(自発的な活動の促進)

第13条 市は、前条に規定するもののほか、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体が自発的に行う緑化活動、再生資源の回収活動その他の良好な環境の保全に関する活動が促進されるように必要な措置を講じなければならない。

第3章 生活環境の保全及び育成

第1節 清潔の保持

(ポイ捨ての禁止)

第14条 何人も、みだりにごみを捨ててはならない。

(土地所有者等の管理)

第15条 土地所有者等は、その土地に繁茂する雑草、枯草又は投棄された廃棄物を除去するとともに、廃棄物の不法投棄を未然に防止する措置を講ずる等、周辺の生活環境を損なわないようその土地の適正な管理に努めなければならない。

(工事施工者の管理)

第16条 土木工事、建設工事その他の工事を行う者は、その工事に関し、土砂、廃材、資材等がその周辺に飛散し、脱落し、又は流出しないよう適正に管理しなければならない。

第2節 廃棄物の処理

(廃棄物の処理)

第17条 何人も、廃棄物を適正に分別し、排出を行うとともに、自らもその減量化に努めなければならない。

2 事業者は、事業活動に伴って生ずる廃棄物の再生利用を図るなど、その減量化に努めなければならない。

(投棄の禁止)

第18条 何人も、河川、田畑、山林、空き地等いかなる場所においても、廃棄物を不法に投棄してはならない。

(産業廃棄物処理施設の設置等)

第19条 何人も、法による産業廃棄物処理施設の設置の許可申請をしようとする場合は、法を遵守しなければならない。

2 市長は、前項の法の規定による意見照会があった場合、生活環境及び自然環境の保全上の見地から、第29条に規定する橋本市環境保全審議会の意見を聴かなければならない。

第3節 公害の防止等

(公害の防止)

第20条 何人も、公害関係法令又は和歌山県公害防止条例(昭和46年和歌山県条例第21号)を認識の上、公害の防止に努めなければならない。

(野外焼却行為の禁止)

第21条 何人も、焼却に伴い、ばい煙、悪臭又はダイオキシン類等を発生するおそれのあるものを焼却してはならない。ただし、公益上若しくは社会の慣習上やむを得ないもの又は周辺地域の生活環境に与える影響が軽微であるものとして、廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令(昭和46年政令第300号)第14条に規定するもの並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則(昭和46年厚生省令第35号)第4条の規定に基づく技術上の基準に適合する焼却設備を用いて焼却する場合は、この限りでない。

第4節 愛がん動物の管理

(飼い犬等の飼育)

第22条 飼い犬、飼い猫その他の愛がん動物(以下「飼い犬等」という。)の所有者(所有者以外の者が飼育し、又は管理する場合は、その者を含む。以下「飼い主」という。)は、その飼い犬等の形態、性状等に応じ、悪臭の発散の防止、病害虫の発生の予防等衛生上の適正な管理に努めるとともに、人に危害を加え、又は人に迷惑を及ぼすことのないよう適正に飼育しなければならない。

(飼い主の遵守事項)

第23条 飼い主は、飼い犬等を屋外で運動させる場合は、次に掲げる事項を遵守しなければならない。

(1) 飼い犬等を綱、鎖等でつなぎ、制御できるようにすること。

(2) 飼い犬等のふんを処理するための用具を携行し、公共の利用に供されている場所並びに他人の土地、建物及び工作物を汚損したときは、直ちに処理すること。

第4章 自然環境の保全及び育成

第1節 紀の川等の保全

(紀の川等の保全)

第24条 何人も、市民生活に欠くことのできない、本市の清らかで豊かな紀の川及び支流河川(以下「紀の川等」という。)を保全するため、水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)の精神に則り、紀の川等の水質の保全に努めなければならない。

第2節 自然環境の保全

(森林の保全と緑化)

第25条 何人も、水資源を確保し、かつ、大気の浄化作用を高めるため、森林の保全と緑化に努めなければならない。

(自然の保護)

第26条 何人も、動植物の生態系を保護し、自然の持つ浄化循環作用を阻害しないよう努めなければならない。

(自然環境の適正な利用)

第27条 何人も、自然の保護及び育成に関する認識を深めるとともに、自然環境を利用するに当たっては、自然環境を破壊し、又は汚損することのないよう適正な利用に努めなければならない。

第5章 歴史環境の保全

第28条 何人も、由緒ある歴史的文化的遺産等を保存し、又は文化的活用に努め、郷土における歴史的風致の個性及び特質を失わないよう、その歴史環境の保全に努めなければならない。

第6章 橋本市環境保全審議会の設置

第29条 良好な環境の保全に関する基本的事項について調査審議するため、橋本市環境保全審議会(以下「審議会」という。)を置く。

2 審議会は、市長の諮問に応じ、次に掲げる事項を調査審議する。

(1) 第10条の規定に関すること。

(2) 第19条第2項の規定に関すること。

(3) 次条第2項の規定に関すること。

(4) 前3号に掲げるもののほか、良好な環境の保全に関する基本的事項

3 審議会は、前項の調査審議事項に関し、市長に意見を述べることができる。

4 前3項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、別に規則で定める。

第7章 雑則

(指導及び勧告)

第30条 市長は、次の各号のいずれかに該当する者に対しては、必要に応じ、指導又は勧告を行うものとする。

(1) 第14条の規定に違反した者

(2) 第18条の規定に違反した者

(3) 第21条の規定に違反した者

2 市長は、前項の勧告に従わない者に対しては、審議会の意見を聴き、監督官公署への告発等必要な措置を講ずるものとする。

(立入調査)

第31条 市長は、この条例の施行に必要な限度において、その職員を調査のために現場に立ち入らせ、関係者に対し、説明若しくは報告を求め、又は必要な指示若しくは指導をさせることができる。

2 前項の規定により立入調査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(委任)

第32条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

(施行期日)

1 この条例は、平成18年3月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の日の前日までに、合併前の橋本市環境保全条例(平成10年橋本市条例第8号)の規定によりなされた処分、手続その他の行為は、この条例の相当規定によりなされたものとみなす。

橋本市環境保全条例

平成18年3月1日 条例第159号

(平成18年3月1日施行)

体系情報
第8編 生/第4章
沿革情報
平成18年3月1日 条例第159号